2. ウマヘルペスウィルスEHV-9のマーモセットにおける病原性 (予報)児玉篤史,酒井洋樹,柵木利昭,柳井徳磨岐阜大学CEO野生動物感染症センター EHV-9はトムソンガゼルの集団脳炎例から分離された新種のウマヘルペスウィルスである.EHV-9は,経鼻感染によって,げっ歯類,ヤ ギ,ブタおよびネコにおいて致死性脳炎を引き起こすことは,すでに本学会で報告した.今回,EHV-9の霊長類における病原性を明らかにするために,コモ ンマーモセット (Callitbrix jaccbus) に経鼻摂取し,病原性を検討したので報告する.2歳から4歳齢の雌雄マーモセット4匹に106 pfuのEHV-9をそれぞれの個体1 mLずつ経鼻接種し,臨床症状を観察したところ,接種後3および5日目に各1例,4日目には2例が瀕死状態であったため,安楽死後,剖検を行った.臨床的 には,接種3日目から沈欝が認められ,4日目には強直性痙攣などの神経症状が認められ,次いで昏睡状態に陥った.剖検では,肉眼的異常は認められなかっ た.組織学的には,全例の鼻腔粘膜および大脳において壊死および炎症が認められた.嗅球および大脳では,神経細胞は広範な壊死に陥り,変性細胞の核内には しばしば抗酸性から両染性の核内封入体が認められた.免疫組織化学的には,変性した神経細胞の核内および細胞質内にEHV-9抗原陽性反応が認められた. また,一部の例では囲管性細胞浸潤およびグリオーシスが種々の程度にみられた.鼻腔では,鼻粘膜に炎症細胞が多発性に認められ,しばしば粘膜上皮細胞に核 内封入体がみられた.以上の結果から,EHV-9は経鼻感染によりコモンマーモセットに脳炎を引き起こすことが明らかにされた.霊長類を含めた種々の哺乳 類がEHV-9に感受性を示すことから,同ウィルスによるエマージング感染症の可能性が示唆された.本研究は21世紀CEOプログラムによる. |