オスザルの生殖生理
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榎本 知郎 |
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霊長類のオスの繁殖戦略を考察する上で、オスが一生にわたって、どのような時期にどのくらい精子を産生し、どのようなメスを選択し、あ るいはメスに選択され、交尾して子孫を残していくかを知ることが、きわめて重要である。今回の発表では、各種霊長類の精子発生 (spermatogenesis)の様相を比較して、それぞれの特徴を明らかにしたい。精子発生とは、分化型精祖細胞が数回の細胞分裂で増殖し、減数分 裂を経て、その結果生じた精子細胞が成熟した精子へと変容する一連の過程を指す。精子の産生は、この分化型精祖細胞がどれほど形成されるかというプラス要 因と、精子発生の過程でどれほど細胞が死んでいくかというマイナス要因によって決まる。霊長類のなかでは、マカクザルは精子発生が活発だが、なかでもカニ クイザルがぬきんでている。類人猿では、精子発生が活発なチンパンジーから、マイナス要因が強く働き、随所に病理学的な所見が見られるゴリラまで、多様で ある。これらの違いは、各種の繁殖戦略を反映しているものだと考えられる。 |