4)  ペットサルにおける消化器疾患
エキゾチックペットクリニック    霍野晋吉

サルはヒトと共存し、進化の過程を経て現世にも存在する貴重な動物である。しかし、多くの事情から、棲息環境が減少の一途を辿り、その結果、個体数は激減していることが現状である。今後はヒトとの共生、そして種の保存という義務をヒトは持たなければならないと思われる.

本発表では、そのなかでも共生の一つの形でもある、ペットサルに着眼し、それらの臨床における消化器疾患を概説する。しかし、対象は実験動物、野生動物としてはなく、一個人において飼育されているサルであり、これまで調べ得た疾病、治療などの全ての記録は、ペットサルに対して有用なものになるとは限らない。ましてや、飼育下では人畜共通感染症を引き起こしうることも少なくない。特に消化器疾患は唾液、吐物、あるいは糞などからも感染する疾病もまれではなく、感染が容易に成立しやすいという特徴もある。愛玩目的で飼育することが、飼育者であるヒトにとって、そしてサルにとって有益になるものでなければならない。

内容

1)  来院種類と飼育目的

来院するペットサルの種類の紹介、および各飼育目的における考えの相違

2)  診療の実際

診察方法、および保定、検査、鎮静や麻酔処置の実施

3)  好発する疾病

好発する代謝性疾患、歯牙疾患、腸炎、内部寄生虫の概略

4)  治療

個人飼育下での在宅治療、あるいは個人動物病院での院内治療の現実性

5)  法律と自主検疫

購入後の自主検疫、そして人畜共通感染症の考え

実験動物、あるいは動物園動物とは異なり、個人宅におけるペットサルは今後増加するとは言えないかもしれない。しかし、現実的に飼育が現在も行われており、一部動物専門店において販売されていることから、一般の動物病院においても来院する可能性は有り得るわけである。これらのサルを対象に、そして飼育者や獣医師も積極的に取り組む問題は数多く、診療および自主検疫を確立するべきであると実感する。